こんにちは、U-NEXTで悠々自適なオタライフを過ごしているオッサンです。
見放題の作品数が多いU-NEXTだからこそ、様々な名作や傑作映画を楽しむことができます。
今回は、数ある名作・傑作映画の中から、個人的に最高だと思っている映画『アンダーグラウンド』を紹介していこうと思います。
『アンダーグラウンド』は見るものに感動を与える最高の映画
この映画を初めて見たのは、30代を過ぎてからでした。
良い大人でしたが、エンディングの演出に感動してしまい思わず涙を流していました。
ラストシーンでBGMが流れ始めた瞬間、心が打ち震えてしまったその時の私は、あふれ出す涙を抑えきれませんでした。
戦禍にまみれた混沌とした時代の中を生きる登場人物達の壮大な叙事詩は、見るものに深い感動を与えてくれるに違いありません。
20世紀でベスト10に入る名作映画だと自信を持って言えます。
映画『アンダーグラウンド』を簡単に紹介
監督:エミール・クストリッツァ
この映画は、1995年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しています。
この映画は、歴史的背景と人間ドラマを巧みに融合させた作品であり、多くの観客に感動を与えています。
映画『アンダーグラウンド』は、第二次世界大戦かユーゴスラビア紛争までの激動とした歴史にフィクションを織り交ぜて描かれています。
舞台は、ナチス占領下のベオグラード。
主人公はパルチザンとして活動するクロとマルコの二人です。
物語は3章仕立てで描かれており、これから章ごとに勝手な考察を述べていこうとおもいます。
映画『アンダーグラウンド』を解説
その前に、一つだけ注意点があります。
この映画には、見る人によってはかなり不快になるシーンが多く見受けられます。
別にグロ描写があるわけではありません。
主にジェンダーレスな思想や、雑多で猥雑なシーン、過剰な暴力描写等です。
そういったシーンが苦手な人は、この映画を最後まで見るのはオススメしません。
この映画の良さを知るには、別の映画などを見てある程度耐性を付けないと見るのが難しいかもしれません。
第一章『戦争』
「昔、ある所に国があった」
これは映画の冒頭に流れるテロップですが、この一文が映画『アンダーグラウンド』の主題となっています。
この冒頭のテロップは、映画のラストにも繋がっていきます。
第1章では、クロとマルコがナチス占領下で地下に避難しながら武器の密造を行い、祖国を守るために戦う姿が、かなりコミカルに描かれています。
youtubeの予告動画を見て貰えれば解るかと思いますが、ブラスバンドが奏でる軽快で騒々しいジプシー音楽から映画が始まります。
映画の最初のシーンは、泥酔状態の二人が車に乗って、周囲にお札をばら撒きながら(ナチスから盗んだお金)しっちゃかめっちゃかに発砲する場面から描かれています。
それを見た時、私は「この映画はインド映画並みにコメディな映画なのかな」、と思ったほどです。
物語の主人公のクロとマルコについて
主人公のクロは、元は電気技師でただの一般人でした。
ですが、その人を惹き付けるカリスマ性と大胆な行動力を、野心家のマルコに見出されてしまい共産党員に入党します。
主人公のクロとマルコ、二人の人間性は、はっきりと『クズだ』と言わざる得ないですね。
クロは、粗野で粗暴な感情的な男で、妊娠中の奥さんをほっぽって、女優のナタリアの尻を追いかけるようなクズ男です。
マルコも、非常な野心家で他人を利用する為なら平然と嘘をついて騙すようなクズ男です。(ちなみにマルコもナタリアに惚れていて、どうにか自分の物にできないかと考えていたりします)
ナチス軍による激しい空襲を受ける中、地下へと避難
クロとマルコの仲間や家族が地下に作り上げた防空壕へ避難する最中、クロの奥さんが産気づいてしまいます。
空襲による爆撃が轟く防空壕の中で、奥さんは男の子を出産します。
ですが、奥さんは産んだ男の子の名前『ヨヴァン』を言い残すと、静かに息を引き取ってしまいました。
物語の第一章は、クロとマルコとナタリアの三人を中心に描かれる
妻を亡くしたクロは悲しみに暮れますが、そのクズ男ぶりが治るわけがありません。
息子のヨヴァンを溺愛しながらも、頭の中は女優のナタリアのことでいっぱいです。
さて、クロとマルコの二人を夢中にさせるナタリアですが、この女性もかなり狡猾で強かな女性です。
解りやすく言えば、ルパン三世の峰不二子のようなキャラですね。
彼女はその美しさで、ナチス将校の心を射止めていました。
まぁ、この時代の権力者は往々にして女優狂いが多かったですからね。
そんなわけで、ナタリアを奪還する為にクロとマルコは劇場に突入して、ほぼ誘拐同然にナタリアを連れ去ります。
連れ去った後は、川沿いに止めていた船の前で、クロとナタリアの結婚式がナタリアの意志を無視して無理やり行われます。
どんちゃん騒ぎのパーティーの最中、クロの隙をついてマルコがナタリアに近づいて、お得の話術で彼女の気を惹こうとします。
ですがマルコの謀らみは、あっけなくクロに見つかってしまいます。
クロは銃をマルコに突き付けて、友情と忠誠を誓わせようとしました。
そんな中で、ナタリアを奪い返す為に追いかけて来たナチスの部隊の襲撃によって、クロはナチスに捕まってしまいます。
捕らわれたクロを救出する為に、マルコはナタリアを利用してナチスの捕虜収容所に潜入します。
なんとかクロの救出に成功しますが、その最中でクロは重傷を負ってしまいます。
マルコはクロをどうにかして地下防空壕まで連れてきますが、クロが助かるとは思っていない様子です。
狡猾なマルコがこの機会を逃すはずがありません。
マルコはナタリアを口説きにかかります。
マルコは巧みな嘘でナタリアの心を射止めます。(とはいえ、ナタリアは頭の良い女性です。騙されたというよりも、マルコの嘘に乗っかったという感じです)
二人が見つめ合う最中で連合軍の爆撃が始まったところで、物語の第一章が終わります。
第二章『冷戦』
第2章では、冷戦時代のヨーロッパとユーゴスラビアの政治的状況に焦点を当てています。冷戦の影響で、ヨーロッパは東西に分かれ、ユーゴスラビアもその影響を受けて経済発展を遂げていきます。
しかし、地下防空壕に避難していた人たちは、戦争が終わっていることも知らずに地下での生活を続けています。
英雄クロと指導者マルコ
クロはナチスとの戦いで勇敢に戦い、そして戦死した。
英雄クロの同志マルコは、実在したユーゴスラヴィアの大統領チトーと共にドイツへの抵抗運動を続けて、チトーの側近にまで上り詰めていました。
名誉と名声を手に入れたマルコは、ドイツへの抵抗運動の最中で戦死したクロの銅像の前で、英雄の死を集まる国民の前で嘆きます。
国民的英雄クロの死を悼むマルコの隣には、妻のナタリアもいます。
当然ですが、クロは死んではいません。
戦争が終わったことも知らず、地下の人々は武器を密造し続けていた
すべては連合軍による爆撃にまで遡ります。
マルコは連合軍の爆撃を利用して、クロと仲間たちを地下に閉じ込めてしまったのです。
マルコは地下に閉じ込めた人々を騙して武器を密造させ続けます。
その武器を売ったお金で、マルコは共産党内で大統領の側近にまでに出世したのです。
地下の世界はまるでアリの巣のよう
地下で暮らすクロと仲間たちは、独自の社会を築いていました。
時代は進み続ける中、地下の人々はいまだにナチス占領下の1961年の時代を生きています。
地下の人々は、来るナチスとの最終決戦の為に虎視眈々と不毛な抵抗運動を続けているのです。
その様子を地上から監視するマルコとナタリアは、次第に彼らを騙しているという罪悪感に毒されていきます。
偽りの世界の崩壊
いつまでのこのような嘘が続けられるはずもありませんでした。
クロの息子ヨヴァンの結婚式に招待されたナタリアとマルコですが、その宴席で酒に酔ったナタリアはとうとうマルコとの関係を話してしまったのです。
全ての嘘がバレたわけではないのですが、ナタリアがすでにマルコの妻になっていることにクロは激怒します。
結婚式の乱痴気騒ぎはいよいよ混沌としてきました。
銃を取り出して二人が喧嘩する中、マルコの弟イヴァンが飼っているチンパンジーが戦車の大砲を放ちます。
この瞬間、地下の世界は完全に崩壊してしまいました。
クロは息子と外の世界へ
戦車の大砲によって開けられた穴から、クロと息子のヨヴァンは地下から抜け出します。
抜け出した先では、たまたまナチス占領下のセルビアを舞台にした映画の撮影がされていました。
ナチスの軍服に身を包む役者達を、二人は本物だと勘違いして襲撃してしまいます。
その後、クロは息子と共にドナウ川でほとりで久しぶりの地上を満喫します。
クロは息子のヨヴァンを溺愛しており、生まれてからずっと地下生活で育ったヨヴァンに地上での様々な体験を教えようとします。
泳ぐこともできないヨヴァンに父親らしく泳ぎ方を教え始めた時、映画撮影の襲撃をした犯人を追跡していたヘリコプターが襲来します。
クロはナチスの軍隊が現れたと思い、泳げないヨヴァンを川の中に置き去りにして銃を手に取って応戦します。
ヨヴァンは必死に叫んで父親を呼ぶが、やがてドナウ川の底へと姿を消してしまいます。
息子の姿が見えなくなったことで、クロは慌ててヨヴァンを探しますが、漁網にかかって身動きが取れないところを捕まってしまいます。
ここからストーリーのコミカルな雰囲気が一変し、クライマックスとなる第三章の間ずっとシリアスな展開が続きます。
騒々しいくらいに陽気だったジプシー音楽のBGMが悲哀に満ちたものに変わっていきます。
第三章『戦争』
第二章の終わりで、マルコとナタリアは地下を爆弾で完全に崩壊させてしまいます。
味方によっては、二人は地下の人々を地下世界ごと爆弾で消し去ってしまったかのように見えます。
ですが、地下の人達が死なないように、空襲警報を鳴らして戦車の中に避難させてから爆破したので、二人には二人なりの倫理観があるようです。
その後、二人は武器商人としてユーゴスラビア紛争の裏で暗躍することになります。
一方、クロはどうなったかというと、彼はユーゴスラビア紛争のどこかの解放軍の指導者となっていました。
彼は消えた息子を探して、祖国を焦土と化す戦火に油を注ぎ続けていました。
この後、物語がどのように終わりを迎えるのかは、見て貰えれば解るかと思います。
この映画を見る際に、実際の歴史と当時の政治背景なんて知る必要なんてありません。
全ては冒頭のテロップがこの映画の全てを物語っているのです。
「昔、ある所に国があった」
ラストのシーンを見て貰えれば、このセリフの意味がきっと理解できるかと思います。
そして、貴方は耐えきれない感動の波に涙を流していることでしょう。
まとめ
映画全体を通して、『アンダーグラウンド』はユーゴスラビアの歴史的な変遷を風刺的かつドラマティックに描写し、内戦、冷戦、平和の時代にわたる人々の生活と感情を多面的に描き出しています。
ですが、すでに言ったように歴史を全く知らなくても、見て貰えればこの映画の素晴らしさが解るかと思います。
映画『アンダーグラウンド』は、実際は五時間を超すミニドラマとして放送されたものを、映画用として二時間半ほどの枠に収まるように大幅にカットされたものです。
ですので、映画を一通り見ると、シナリオのつながりに違和感がある点が散見されます。
まぁ、二時間以上分のシーンをカットすれば、可笑しな点が出るのは当然かと思います。
一応、ノーカット版のBD版かDVD版がamazonで購入することができます。
というか、すでに売っていませんね。
どうしても欲しい方は、おそらく高額になっているでしょうがメルカリなどで探せば見つかるかもしれません。
おそらくは高額でしょうけども。
ですが、こうして調べているうちに驚くべきことに気が付きました。
amazonプライムでも映画『アンダーグラウンド』が見れるようです。
ですので、この映画に興味がある方はU-NEXTかAMAZONのどちらかで視聴することができます。
これを機に、最高の映画を見ることで、映画の素晴らしさを知ってください。
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